豆腐屋を襲う、G・シェパード。

今回も、少年時代のネタです。

ぼくの通っていた小学校はうちから700mくらいなんで

通学は基本歩きで、集団登校でしたから

毎朝5軒となりの豆腐屋さんに同級生を誘いに行きます。

「T君~、学校行こう!」と声をかけながら家の人にも断らず、

ズカズカと家の奥に入っていくのですが、

T君はいつもモタモタしていてすぐには出てきません。

お母さんは、

「いつもごめんね~」と言いながら

お店の奥で待たせてくれます。

そこは、

いそがしい豆腐作りの合間に

前掛けや長靴を脱がなくても

食事ができる部屋です。

 

いつもむせ返るような

豆乳の香りが漂ってましたから

仕事場やお店との間の扉は

開けっ放しだったと思います。

 

「もう待たなくていいから先に行って」

と、お母さんの号令が下るか、

T君が部屋から出てくるまで、

だいたい10分前後は待つことになります。

(なのに、T君からお礼を言われた記憶はない)

 

そんな朝の豆腐屋さんに、

ぼくの記憶で2回

G・シェパードが乱入してきました。

 

こいつはよ~く知ってるヤツです。

 

というのも、

豆腐屋さんのとなりの鉄工所の表に

いつも繋がれていて、

登下校の途中でいつもからかってたからです。

 

 

小学生のぼくらが前を通ると激しく吠えるんですが、

仲良くなろうと何度か接近を試みたんです。

 

声をかけながら少しづつ近づいて見るのですが、

間合いに入ると、

とたんに激しく吠えて寄り付く島なしの状態。

 

頭をナデナデしたくなるような愛嬌を

全く感じないヤツだったんです。

(番犬としては優秀でしょうが)

 

飼ってる鉄工所でも持て余してたのか

近所を散歩させる姿は見たことがなく、

たまに軽トラの荷台に乗せて川原に連れて行っては

好きに遊ばせるだけのようでした。

 

そんな慢性欲求不満のG・シェパードが

しばしばリードを外して脱走するわけですから、

ぼくにとっては

動物園からライオンが脱走したのに近い

大変な恐怖でした。

 

いつかの朝は、

ウチのポコ(ボクサーMIX)を散歩させていて遭遇、

向かいの家の裏から走り出してきて

あっという間に僕の目前に殺到、

あまりのことにぼくは硬直状態・・・

(こんな形相で・・・)

 

ポコの首根っこにガブリと食らいつき

ブルブル振り回して川へ落としました。

 

ぼくは半狂乱になって家に駆け込み、

「ボコガァ~~、ボコガァ~~ァー」と涙声で叫ぶと

オヤジが駆け出してってなんとか救出するという

事件もありました。

 

G・シェパードが特に怖くなった

エピソードが実はもうひとつあります。

 

それは、

同じ町内にある温泉で飼われていたシェパードが

飼い主に噛み付いた事件です。

 

しかも、

噛まれたと聞いていたおじさんを

見てしまったんです。

 

片目は包帯で隠れ、

わずかに見える首筋は紫色に変色、

腕にもぐるぐる包帯が巻いてあって

白い包帯に赤い斑点がついていました。

 

 

大人たちが、

『棒で叩くからこうなるんだ』とか、

『そりゃ犬もキレるわ』

なんて噂してたような気がします。

 

噛まれたおじさんを見た僕は、

「まっ、ぼくなら瞬殺されるだろーな」

と、確信したわけです。

 

ヤツが初めて豆腐屋に乱入してきたときの

ぼくの恐怖は想像できるでしょ?

 

 

 

その朝、

積み上げられたオカラの容器をぶちまけながら

ぼくのいる店の奥に向かって

ヤツは突進して来ました。

 

ぼくは目を見開いて息を止め、

壁の凹みに背中を押しつけて

ヤツのアタックをやっとやり過ごしました。

 

店の中はT君のお姉さんの金切り声や

大人たちの叫び声で騒然としています。

 

スキを見て素早く表に飛び出したら

鉄工所のおじさんが現れて

ヤツを強制連行してくれて一件落着。

 

初回はあっけなく

ヤツの攻撃を受けずにすみました・・・

 

しかし、次の乱入事件のとき

ヤツの意外な本心に気づきました。

 

その日は、

乱入はしてきたものの、

中腰の姿勢で土間にとどまり

シッポを振っていました。

 

「アラッ?」

 

硬直しながらも

ぼくの緊張は少し緩みました。

 

T君の家の人が頭を撫でると

喜んで後ろ足立になりシッポをフリフリ。

(立つとぼくよりデカイ)

 

「S君もなでてみろ!」

と言われて恐る恐る背中を撫でました。

 

なんと、ヤツはされるがままにしています。

 

ゴワゴワした毛の感触と

犬臭いニオイがしたのを

恐怖の記憶として覚えています。

 

「いつもすんませんね~」

ペコペコしながら現れた鉄工所のおじさんに

強制送還されるまでの間、

ヤツはおとなしくしていました。

 

 

「遊んで欲しいだけなんだ!」

ヤツの本音でした。

 

 

 

その後、

鉄工所のおじさんがセキュリティを向上させたのか

ヤツが脱走する事件はなかったように思います。

(相変わらず散歩はしてなかった)

 

中学生になると通学も自転車に変わり、

その後ヤツがどうゆうふうに暮らしていたかも知らず

ヤツの存在自体も忘れてしまいました。

 

でも、今の僕がG・シェパードを怖く感じないのは、

この時のヤツのおかげです。

 

今では、

警察犬を3頭いっしょにに散歩させることも、

全身をキレイに洗い上げることだって平気です。

 

G・シェパードはいいヤツで、頼れるヤツです。

 

 

P.P.S

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